ビットコイン価格に見る、バブル形成の過程。今はまだバブル価格とはほど遠い判断。


 今年は仮想通貨=暗号通貨マーケットが大賑わいです。今年年初に総時価総額1兆円そこそこの市場だった仮想通貨マーケットは、今日アジア時間で9兆円を記録し、ニューヨーク時間が始まると▲10%の下落、あっという間に1兆円吹っ飛んで8兆円になっています。この値動き、とても興味深い。

 僕は2008年リーマンショックに巻き込まれて以来、バブルというものに興味を持ちバブル価格形成の歴史、過程についてはずっと調べてきました。リーマンショックの最中、金融の現場では何が起きていたのかというあたりについては相当な量の文献を読んできています。その過去の動きからすると、今のビットコインはじめ仮想通貨マーケットはまさにバブル価格形成の過程に沿って推移していると見えます。判断としては、まだバブル価格形成の道半ばであってバブル価格とはほど遠い、という判断ができます。

 そもそもバブル価格とはなんでしょう。様々な定義がありますが、たとえばウィキペディアでは下記の様に定義されています。

---ウィキペディアより引用---
バブル経済(バブルけいざい、英: economic bubble)とは、概ね不動産や株式をはじめとした時価資産価格が、投機によって経済成長以上のペースで高騰して実体経済から大幅にかけ離れ、しかしそれ以上は投機によっても支えきれなくなるまでの経済状態を指す。多くの場合は信用膨張を伴っており、投機が停止すると一転して信用収縮に陥る。

経済学の定義では、バブルとは「ファンダメンタルズ価格(理論価格)から離れた資産価格の動き」とされている。
---引用終わり---


 この定義には基本的に同意しています。不動産価格がわかりやすい。住宅ローンが借りられるのは日本ではサラリーマンの年収の5倍程度まで、とよく言われます。年収500万円のサラリーマンが35年ローンで組める住宅ローンが2,500万円、という風に、です。もし住宅価格が平均5,000万円、とかになったら買えなくなるのでバブル価格だという判断ができる、という風です。それを超えると平均世帯が買えないし、投資用不動産が賃料収入で採算が合わなくなるので投資家も買わなくなる。既に香港、ロンドン、トロント、オークランド、ソウル、ニューヨークあたりではこのような不動産価格形成にとっくの昔に到達しています。

 「買えなくなるまで高くなる」ことがポイントです。なので、バブル価格というものは「ビットコイン価格が年初から5倍になった」というような、上昇率で語るものではない。多くの人が間違って「バブル価格だ!」と語っていることです。ここを間違えている人は、今まで長く仮想通貨を保有していた人でも今年の仮想通貨価格上昇過程の途中で手放していることでしょう。バブル価格を判断する為には上昇率や単品価格ではなく「時価総額」を見る必要があります。仮想通貨マーケット全体の時価総額が、買えないほど高いものなのか、ということが重要です。

 時価総額を見ると、仮想通貨マーケット時価総額は8兆円。これを「買えないほど高い」ものなのか判断する必要が出てきます。投機マネーは自分が買うこと、その行為そのものによって価格を上げます。バブル価格の定義でも見たように「それ以上は投機によっても支えきれなくなる」状態であるのかどうなのか、というところです。どれぐらいのマネーが世界にはあるのか。日本株式市場は500兆円以上の市場規模を持ちます。その中で8兆円は上場企業1社ぶん、日産自動車ぐらいでしょうか。トヨタは1社で19兆円の時価総額を持ちます。日本企業1社であれば、投機マネーが価格を上げることができます。今日、CISさんという200億円を運用しているという有名な個人投資家が「ソフトバンク株を8700円まで全部一気に大人買ってみた」というようなツイートをし、(取引板を見ると実際に買ったようです)そのことでソフトバンクの株価が上がったと話題になりました。ソフトバンクの時価総額は9兆円です。たった1人の個人投資家の動向ひとつで9兆円という時価総額は動かすことができるのです。現在の仮想通貨マーケット時価総額がちょうど8~9兆円。(さらにソフトバンクは日経平均株価の中のシェアが大きい為日経平均株価市場全体を上昇させるインパクトすら持ったと言われています。) ここから見ると、仮想通貨マーケット全体時価総額9兆円は、まだまだ投機によって買い支えられる規模だと推定できます。この市場で儲けようと思えば投機マネーはまだ価格を吊り上げることができる。


 日本市場の時価総額は500兆円ですが、そこに現在日銀が毎年10兆円近く買いを入れています。500兆円の市場は、10兆円の買いが継続的に入るという観測で上昇期待を持つことができる。500兆円に対して10兆円は2%。仮想通貨マーケットが9兆円の時2%は1800億円。それぐらいの投機買いで上げるインパクトを持てる可能性がある。先ほど挙げた個人投資家は1人で200億円を運用していると言われる。海外では何百億円を持つ個人投資家は少なくない。


 また、現在はリーマンショック以降続く、欧米日の莫大な量的緩和によって世界的なカネ余り。借金に借金を重ねる信用創造によって世界中にばらまかれているレバレッジのかかったデリバティブマネーは100兆ドルとも1,000兆ドルと推測されます。これだけの規模のマネーがマイナス金利の運用難の中、タックスヘイブンに眠っていつでも獲物を探してさまよっています。仮想通貨マーケット、現在900億ドルです。


 結局、仮想通貨マーケットの時価総額8~9兆円という市場規模は、バブル価格というにはあまりに小さすぎるのです。この程度の金額では将来伝説にもなりません。かつて、日本の不動産バブル時代には、日本の山手線沿線の土地価格でアメリカ全土が買える、と言われました。今のビットコイン時価総額5兆円では日本の大企業1社買えません。その程度の時価総額では将来語り草にもならない。仮想通貨マーケットはかつてのチューリップバブル並みの伝説を作るポテンシャルはあると思うのでこの程度の時価総額で天井を迎えることはないでしょう。


 市場価格形成にあたって、アメリカ株式市場に伝わる格言があります。

 「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福感の中で消えていく。」

 この格言はまさにその通りだと思うのです。今、ビットコイン価格はまさにこの格言の家庭の中の「懐疑」のところにいます。ゴールデンウィーク明けから価格上昇が加速し、先週暴騰、今週になって日本のテレビや新聞、メディアでの仮想通貨の取り扱いが増えました。(余談ですがゴールデンウィーク前に僕の仮想通貨投資を取材された日経ヴェリタスさんは最高のタイミングでしたね。あの記事を見てゴールデンウィークに仮想通貨に資産をいくらかでも投じた人は大儲けしたでしょう。)

過去記事:仮想通貨の分散・積立て投資で日経ヴェリタスに取材頂きました。
http://fxtsumitate.com/blog-entry-898.html

 今週テレビで「ビットコイン価格が30万円を超えた」と盛んに言われました。そしてツイッターを見ていても今まで仮想通貨を耳にしたことはあったけど・・・という人が続々とマーケットに入ってきています。特にミセス・ワタナベと呼ばれ世界にインパクトを与える規模で為替取引をしている日本のFX個人投資家の仮想通貨参戦の動向は顕著です。

 今週ビットコインの暴騰を知った人は懐疑的です。今日のニューヨークの10%ものビットコイン価格下落を見て明日には「ほらね、こんなのに手を出しちゃいけなかったんだよ」と言える構えの人が多い。明らかに「懐疑」の状態です。

 ふたたび格言を見てみると、

 「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福感の中で消えていく。」

 今年仮想通貨マーケットは上昇を続けているのでずっと「懐疑」の中にあります。どうすればこれが次の「楽観」に変わるのか。その為には、「下がってもすぐ戻る」実力を示す必要があります。今夜の暴落は次のステップに進むに当たって必要なステップなのです。1回調整してまた高値を更新することで「このマーケットは下がってもまた上がる、下がる中で手放したら損をする」と人が認識し、高値圏の中でも「楽観」に変わっていきます。

 2008年の原油価格なんかがそうでした。あれよあれよと1バレル100ドルの価格を超えて高騰した原油は1回暴落し、「なんだ原油バブル終わったな」と思わせといて再度上げて120ドル。当時日本でもガソリン価格が高騰し人々の生活を圧迫しましたがその価格高騰は下がってもすぐ上がるし、もう終わりが無いんじゃないか、ずっとガソリン価格は上がり続けてしまうんじゃないか、生活は破壊されてしまうんじゃないか、と思われたものです。下がってすぐ上がるプロセスを踏むことで、高い価格が安定的になるのです。

 今夜のビットコイン価格暴落が、このステップに見えてしょうがない。


 そしてその価格高騰を享受した人の幸福感でマーケットが包まれるのが最後のプロセスです。「仮想通貨長者」がメディアのインタビューを受けてテレビ出演したり、天才投資家として取り上げられたり、ニューリッチ層として高級料亭に出没したり高級車を乗り回したり。仮想通貨に投資していた人はみんな幸せになった、そんな雰囲気が醸成されるのが最後のステップです。この状態にはほど遠い。仮想通貨が多少「億り人」を生んだ、とネット界隈で話題になっている程度で、現在の仮想通貨長者は長く仮想通貨マーケットにいるので保有通貨を手放しておらず、ほとんどの人が含み益の状態です。

 仮想通貨価格上昇の利益をきっちり利益確定し、幸福感を世間にばらまいてくれる層は、今まさに参入している人たちです。仮想通貨の保有にはこだわりや愛着がなく、短期利益の為に参入しているのでここから上昇したら躊躇なく利益確定し豪遊してくれるでしょう。そして現在懐疑的な層を動かします。

 イノベーターやアーリーアダプターたちが今まで持っていた仮想通貨がキャズムを超え、現在アーリーマジョリティたちが入ってきています。レイトマジョリティはまだまだ懐疑的で動きません。レイトマジョリティを動かすのはアーリーマジョリティたちの幸福感。あと1~2ケ月かかるでしょうか。そのぐらいに本当のバブル価格を形成し、天井をつけるのかなあ、と思っています。現在仮想通貨マーケット市場規模が9兆円。どのぐらいまでいくでしょうか。まったくもって指標はありませんが、たとえば日本株式市場500兆円の10分の1である50兆円とかになってくるとやっとバブルの雰囲気がしてきますね。


 最後に、現在の仮想通貨価格の高騰っぷり。2008年リーマンショック時の原油マーケットをとても思い出させてくれます。現在は欧米日の量的緩和によってそもそもがマネーバブルの真っ最中。金融危機が起こるバブルの最後の過程ではいろんな資産価格が上昇します。実態経済以上にマネーが余っているので実態経済には投資先がなく、いろんなものにマネーがばらまかれていきます。2008年は原油をはじめとした穀物などコモディティであり、サブプライム証券であり。原油価格は120ドルを超えて高騰している中リーマンショックが起こり、30ドルとかまで大暴落しました。リーマンショックの顕在化は9月でした。

 これから6月になります。仮想通貨がこれから楽観のプロセスに入りバブル価格を形成し崩壊するまで1~2ケ月あるとすれば、8月や9月。まさに、リーマンショックのタイミングをほうふつとさせます。

 目先は僕は株も、為替も、仮想通貨も、上昇に乗っかります。しかしいつでも離脱できるように脱出パラシュートのボタンは常に握りしめている。そんな状態が今年の投資スタンスです。


 このブログは個人の趣味の日記であり、投資行為を推奨するものではありません。投資行為は自己責任でお願いします。


コメント

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まなぶサンが長者としてテレビ マスコミに取り上げられた頃、仮想通貨を売却しようと思います。

No title

ビットコインは、不思議なことに人民元の介入があった今年の1月ごろ急落しました。そして今回も同じように人民元買い介入観測が出ているこの同じタイミングで急落しています。原油価格の急落を考えるとさほど楽観していいのかどうか。

No title

昨今マスコミに取り上げられてる投資家はセミプロの人たち。普通の主婦が儲かったと取り上げられてきたら売り時ですね。

No title

仮想通貨はまだまだ中国マネーとの連動が大きいのは事実です。先週末金曜日・土曜日に仮想通貨マーケットから資金を抜いたのは人民元建て取引。それは出来高から明らかです。
ただ仮想通貨に関わるチャイナマネーはただの投機遊びだと思います。本気で資本移動に関わるならこの程度の金額の動きじゃないです。
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ねぎし まなぶ(P.N)

Author:ねぎし まなぶ(P.N)
某企業勤務のサラリーマン。
株・FX投資暦10年以上にもなるが、デイトレードをやると負け続きでデイトレードは引退。
しかし、短期売買で負け続きでも、過去取り組んだ積立て投資では着実に資産が増えていることに気づき、やはり最強の投資は積立てであると確信。
外貨投資FXで、ドルコスト平均法の中でも最強のリスク分散「毎日積立」に取り組みます。
毎日継続するときに飽きたり変な欲が出ないように、日記の形で記録しながら取り組むことにしました。

※なお、本ブログは素人の趣味の日記であり、投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任にてお願いいたします。

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